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理論と実践

カリキュラムを支える指導法

Smrt Englishのコースがどのように設計、配列、評価されているかを、その背景にある研究とともに紹介します。

はじめに

英語教育を取り巻く状況は、ここ5年ほどの間に大きく変化しました。Smrtは、学習者の学び方におけるこの変化の最前線に立っています。

本稿では、Smrtのカリキュラムの理論的基盤を明らかにし、教室での指導の要素と、教師と学習者による従来型の授業に、テクノロジーを組み合わせた教室での学習を融合させる理由について論じます。

概要

現在CCELで導入されているSmrtのカリキュラムは、次のレベルで構成されています。

  • ENG 110(初級に相当、CEFR A1(下記の付録を参照))
  • ENG 115(初中級、A2)
  • ENG 120(中級、B1)
  • ENG 125(中上級、B2)
  • ENG 130(上級、C1)
  • ENG 140(EAP、B2〜C1)
  • ENG 145(EAP、C1+)

各レベルの内容はカリキュラム全体を通じて一貫しており、学習者は次のレベルへ円滑に進むことができます。内容の例は次のとおりです。

  • メディア:TEDトーク、YouTubeの動画、さまざまな情報源のニュース映像、多様なアクセントを取り上げた音声
  • ユニットの構成:的を絞った練習問題を伴う文法、スピーキング、リーディング、ライティング、語彙、メディア
  • タスク:クローズ問題、書き換え、語彙の拡張、リスニングによる内容理解、ノートテイキング、ディスカッション、課題解決
  • 教室での実践:教師と学習者のやり取り、学習者同士のやり取り、個人活動、ペアワーク、少人数のグループ活動、学習者同士の相互訂正

理論的根拠

Smrtが可能にする学習と指導のアプローチは、言語学習に対する社会文化的アプローチに由来する多くの原則に基づいています。たとえば、指導の過程における文脈、相互作用、対話の重要性の認識、学習の足場かけ(スキャフォールディング)、言語と文化の媒介などです。その根底にあるのは、「言語と文化の学習は本質的に協働的な過程であり、社会的に形成された知識と技能が個人の能力へと変換される」という原則です(Hall 2012, p.48)。この視点を教室での実践に取り入れると、一般にコミュニカティブ・ランゲージ・ティーチング(CLT)と呼ばれる指導法になります(Savignon 1991)。CLTは、言語学習を言語構造の機械的な習得過程ととらえる認知的アプローチへの反動として発展しました。重点は反復練習や代入練習から離れ、学習者は日常の状況に即した意味のある発話を産出できる必要がある、という認識へと移りました。目標は、個別の文法知識を問うテストで高得点をとることではなく、学習者が意味を生み出せるようにすることです(Savignon 1991)。

このアプローチのうち、Smrtに関わる重要な要素は2つあります。協働学習と、Smrtが学習者のニーズに応えるものであるという点です。

協働学習

Smrtは、目標言語を現実的で意味のある形で使う手段として、学習者同士が(ペアや少人数のグループで)協力して取り組むよう設計されています。これはすべてのレベルのすべてのユニットに見られます。たとえば学習者は、まず目標とする文法構造の正しい使い方に焦点を当てた練習活動に協力して取り組み、次にSmrtが提示する場面に基づいた産出活動へと進みます。こうした活動の間、教師の役割はしばしば促す人や学習資源となることであり(Harmer 2007)、目的は学習の足場かけを成功させることです。教室における足場かけとは、教師が最近接発達領域の中で学習者を導き支え(Vygotsky 1994)、指導がなければ習得できなかった技能を身につけさせる過程です。ここでの足場かけは、単純化する、方向づける、タスクに不可欠な特徴を示す、挫折感を抑える、手本を示す、という過程です(Wood et al. 1976)。これにより学習者は、CLTの理論の中心である学習者の自律性を育むことができます。

足場かけは、コース設計と教材の段階でカリキュラムに組み込むことができ、またそうすべきであると同時に、その時々の学習者のニーズに応じて教室で教師が行うものでもあります。したがって、マクロレベルの足場かけとミクロレベルの足場かけを区別できます。すなわち、学習者のさまざまなニーズを考慮して「タスクを計画し、選択し、配列する」教師の能力と、教室で偶発的に生じる「教えるのに適した瞬間」を生かす能力の区別です(Hammond and Gibbons 2005, pp. 10-11)。Smrtは、これを実現する仕組みを提供します。

学習者同士、学習者と教師の間の参加は、共有文書上での口頭および文字による協働によって可能になります。たとえば学習者は、教室でも教室外の自習でも、Googleドキュメントを使って互いの作文を相互に添削できます。各ユニットの教材は非線形に構成されているため、教師は学習者のニーズに最も合ったレッスンを選んで計画でき、学習者は関心のある分野に教室外で取り組む機会を得られます。これにより学習者の自律性が高まり、学習への動機づけが強まります。

教師の役割は、学習者が知識と技能を内在化できるよう、文化と言語の媒介の過程を可能にすることです。「この過程には、教師によって……教育的な談話へと導き入れられる学習者の、認知的・言語的な社会化が含まれる」(Hammond and Gibbons 2005, p.8)。媒介は、テクノロジーのような道具、すなわち媒介的人工物によっても可能になります(Motteram and Sharma 2009)。

学習者のニーズへの対応:デジタルリテラシー

言語の使用とテクノロジーの使用はますます切り離せなくなっており、語学教師には学習者のデジタルリテラシーを育てることが求められています。英語学習の動機となっているのは、将来の学業や職業において、また社会的な目的のために、ウェブ上のデジタルツールを使いたい、使わなければならないという思いです。したがって、教室でテクノロジーが当たり前になることは、学習者の生活の中でそれが当たり前になっていることを反映しています。テクノロジーは教室の外の現実世界とのつながりを提供し、言語使用を文脈に位置づけます(Motteram and Sharma 2009)。Smrtは、教室での教師との対面のやり取りとオンラインのコンテンツを組み合わせたブレンディッド・ラーニング(対面授業とオンライン学習の組み合わせ)の方法を体現しています。そのためテクノロジーは、タスクに統合されると同時に教室に組み込まれています。デジタルツールは言語と文化の媒介を支えます。

Smrtは非常に柔軟で、学習者は教室の中で自分のペースで学習できます。教師は教室の状況を把握し、すべての学習者の学習経験が最大になるよう、その場で進度を調整できます。たとえば、追加の活動やライティング課題のための調べ学習の機会を設けたり、進みの速い学習者が教師のブログでより細かな文法事項に取り組めるようにしたりできます。これにより学習者は、能力をより深いレベルまで伸ばせます。対面とオンラインの教材を組み合わせることで、教師は学習者のニーズに最も適した媒体を使い、提示の方法を活動に合わせることができます(Motteram and Sharma 2009)。授業時間は流暢さの育成や、文法のような「あいまいな」領域についての教師による説明に充て、学習者の自習は、正誤がはっきり示されるインタラクティブなウェブサイトでの語彙の習得や授業前のリーディング活動など、「明確な」領域に集中させることができます。これは、あらゆる面を備えた学習環境を提供するうえで、学習者と教師の双方にとってかけがえのない助けとなります。

オーセンティックな文脈

Smrtは言語を意味のある形で文脈に位置づけます。インターネットからいつでも利用できるリスニング活動から、ニュースサイトなど公開中のウェブサイトから得られる最新の読み物まで、実生活のインプットを大量に提供します。学習者はつながった環境の中で生活しており、そうした同じ資源を使って学ぶことは、日常生活と直接的で意味のあるつながりを持ちます。Smrtは、英語圏以外の国の学習者がウェブ上の教材にアクセスできるよう媒介し、適切な教材を慎重に選び、関連するタスクや活動と組み合わせることで、学習者がそれらに触れる際の足場かけを行います。テクノロジーがもたらす可能性によって、協働的でコミュニカティブなカリキュラムの経験が実現します。

能力の育成

Smrtは前進を志向し、進歩を重視しています。Krashenのインプット仮説(i+1)(Krashen 1982)は、学習者が自らと他者に挑戦し続けてコミュニケーション能力を伸ばすよう促すものであり、Smrtは安心できるチームの環境でこれを後押しします。Smrtはレベルを追って学習者の能力を築き、具体的な目的での言語使用(ENG 110レベルでの習慣や日課の説明など)から、抽象的な考えや概念についての思考と表現(ENG 130レベルでの原因についての推測や仮説など)へと導きます(言語機能の例の一覧は付録を参照)。このシステムには、毎週のテストと毎月のテストの両方が含まれています。毎週のテストは形成的評価であり、その週の文法、語彙、言語機能についての学習者の理解を評価するために作成されています。これにより学習者と教師は、何が理解され内在化され、何がされていないかについて明確なフィードバックを得られます。それによって教師は、その週のレッスンのうち見直しが必要な点に焦点を当てられます。毎月のテストは総括的評価であり、学習者一人ひとりのレベルを正確に評価して、別のレベルのクラスに移るべきかどうかの判断に役立つだけでなく、(一部の政府機関が求める)月次の報告書にも使えます。テストは、特に上位レベルの学習者にとって、国際的に認められた語学試験で出題されうる形式の問題を経験する機会になります。一方で、テストには作文と口頭表現の質的な評価も含まれており、進歩を総合的に評価できます。

能力

コミュニケーション能力に注目することで、カリキュラムに何を含めるかを判断するための原理的な根拠が得られます(Hall 2012, p.117)。コミュニケーション能力の育成は、Smrtにとっても学習者の進歩にとっても鍵となります。この能力は、言語的能力、テクスト能力、社会文化的能力、機能的能力の4つの側面に分けられます。さらに方略的能力は、「言語使用の特定の文脈と状況に対して、他のすべての言語能力の構成要素の統合と適用を管理する」包括的な能力とみなされています(Pawlikowska - Smith 2002, p.6)。

言語的能力

言語的能力は、語彙、音韻、統語に関する知識と技能から成ります。言い換えれば、発話を形づくり産出すること、つまり語と規則を知ることに関わるものです。これらは学習者が学習を進めるうえできわめて重要であり、Smrtが特に重点を置いている点です。語彙を増やす活動、文法構造の練習、書き換え、発音練習は、Smrtのすべてのレベルに含まれています。

テクスト能力

これは、学習者が書き言葉と話し言葉の談話をどのように運用するかを育てるものです。たとえば、特に長い談話やテクストにおける結束装置の使用、一貫性、談話標識、会話の切り出し方などです。上位レベルになるほど、ここに重点が置かれます。

社会文化的能力

これは、学習者が特定の場面で言語をどのように使うか、そしてその使用の社会文化的な側面を扱います。ここには、丁寧さの規則、レジスター・方言・変種への感受性、文体上の適切さの規範、「自然さ」への感受性、慣用句や比喩的表現の知識、文化・慣習・制度についての知識、文化的な言及についての知識、社会的関係を築き維持するためのやり取りの技能を通じた言語使用が含まれます。これらはSmrt 110の最初から扱われ、そこで学習者は出会いやあいさつの適切な方法を学びます。そしてSmrt 130では、アカデミックでフォーマルな言語使用の適切さにより重点が置かれます。プログラム全体を通じて、ロールプレイの場面、動画、リーディングとライティングの活動によってこれを実現しています。

機能的能力

機能的な使用とは、学習者が利用できる言語資源と、依頼、申し出、勧誘など、生活の中で特定の機能を果たすために学習者が言語の特定の側面をどのように使うかに関わるものです。これらはSmrtの中で段階的に導入され、学習者がすべてのレベルを終える頃には運用できるようになることを目指しています。要するにSmrtは、これらすべてを方略的能力と呼ばれるものの中で統合します。方略的能力においては、教師と学習者が協力して学習者のコミュニケーション能力を評価し、学習者のコミュニケーションで実際に生じた困難や行き詰まりを修復することで、言語機能の効果的な運用の向上につなげます。

参考文献

Hall, J.K. (2012) Teaching and Researching Language and Culture, (2nd edition), Harlow, Pearson Longman

Hammond, J. and Gibbons, P. (2005) ‘Putting scaffolding to work: the contribution of scaffolding in articulating ESL education’, Prospect, vol. 20, no. 1, pp. 6–30.

Harmer, J. (2007) The Practice of English Language Teaching (4th edition), Harlow, Longman

Krashen, S. (1982). Principles and practices in second language acquisition. Oxford: Pergamon

Motteram, G. and Sharma, P. (2009) ‘Blending learning in a Web 2.0 world’, International Journal of Emerging Technologies & Society, vol.7, no .2, pp. 83–96

Pawlikowska - Smith, G. (2002) Canadian Language Benchmarks 2000: Theoretical Framework. Centre for Canadian Language Benchmarks

Savignon, S.J. (1991) ‘Communicative Language Teaching: State of the Art’ TESOL Quarterly, vol. 25, no. 2, pp. 261-277

Vygotsky, L.S. (1994) ‘Interaction between learning and development’ in Stierer, B. and Maybin, J., (eds) Language, Literacy and Learning in Educational Practice, Clevedon, Multilingual Matters Limited.

Wood, D., Bruner, J.S. and Ross, G. (1976) ‘The role of tutoring in problem solving’, Journal of Child Psychology, vol. 17, no. 2, pp. 89–100

付録:Smrtカリキュラムの理論に関する文書

Smrtのレベルとヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)の対応。リンク

英語レベル対照表

Smrtのレベル CEFR CLB IELTS TOEFL CAEL
110 A1 2 該当なし 該当なし —
115 A1 - A2 3 3.0 - 3.5 該当なし —
120 A2 - B1 4 - 5 4.0 - 4.5 32 - 41 —
125 B1 - B2 6 - 8 5.0 - 5.5 42 - 59 —
130 B2 - C1 9 - 10 5.5 - 6.0 60 - 78 —
140 EAP B2 - C1 9 - 10 5.5 - 6.0 60 - 78 —
145 EAP C1 + 11 - 12 6.0 - 6.5 + 79 - 95 + 70

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